photograph

monochrome


モノクロ写真が好きだ。
Light Roomで現像作業をしている時もモノクロ処理している時の方がワクワクすることが多い。世界がモノクロに変わるだけで非現実的になるのが楽しいのかもしれない。

男性は色の認識の能力が女性より劣っているという記事をずいぶん前に読んだことがある。例えば赤一つとっても男性から見た赤と女性から見た赤の種類は異なるらしいその話を聞いた時からなんとなくカラー写真を作ることに抵抗を持ってしまった記憶がある。色という要素が入ってくるだけで頭の中が混乱してしまう。特に組写真をまとめるなんて大変だ。カラーの偏りがないか、色味が統一できているか…とても難しい。

視力は良くないが眼前の日常はカラーで広がっている。色のある世界のおかげで四季を感じ、感情を豊かにしてくれる。
そして情報量としてはカラー>モノクロだ。記憶や思い出に残りやすいのかもしれない。

年末整理をしていたら昔のフィルムがたくさん出てきた。学生時代に使っていた残りだ。あの時はPentax 67を使って作品を作っていた。あの重いボディとレンズを持って移動していたことが懐かしい。デジタル隆盛でフィルムは隅っこに追いやられてしまった。以前は290円で買えたのに今は1200円程度。随分値上がりしてしまった。時代の流れか。

しかし、デジタルのおかげで写真撮影という行為のコストは圧倒的に下がったと思う。物理的なカメラの故障がなければシャッターは何万回と押すことができるし、その場で確認することが可能だ。誰もが簡単に写真を撮れるようになって、すぐに共有できる時代になった。

フィルムからデジタルに移行するにの10年かかってしまった。カメラの設定や技術に慣れることができていない。僕はスタジオやアシスタントをしていたわけではないので完全にアマチュアだ。少ない知識と浅はかな経験を頼りにいそいそとシャッターを切っている。露光時間を変えて段階を取る作業はマウスを移動させることで可能になった。コントラストも自由自在だ。フィルターを付け替える必要もない。プリント行程までは至ることができていないが、全ての行程が今までとは違うプロセスに入れ替わった感覚だ。
技術の進化に感動する一方で学ばなければいけないこともたくさんあることがわかった。

この景色はモノクロがいいなって思える時がある。ファインダー越しに脳内で変換し、現像で仕上げていく。なかなか機会は多くないがそんな景色に出会えると写真にするのが楽しみになる。一枚でも多くそんな景色に出逢いたい。

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