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heibon vol.4

野菜作りの面白さ

昨年から始めた野菜づくりも、今年で2年目に入りました。きっかけは、近所の方に「市民農園ってあるんだよ」と教えてもらったこと。申し込みには抽選があり、しかも応募期間が短かったので、ギリギリで思い出して申し込むことができ、2年間使える区画を借りられることになりました。

僕の育った環境は田舎で、物心ついた頃から祖父母は畑仕事に励み、父も小学生の頃には自分の畑を開拓していました。特別に手伝えと言われることはありませんでしたが、祖父が育てた野菜を祖母が調理してくれて、それが食卓に並ぶのは当たり前の光景。畑で育つ野菜を見ながら、「これはナス」「これはオクラ」などと自然に覚えていったことを思い出します。時には変わった形や色の野菜もあって、種類や成長の面白さに触れていたのだと思います。

36歳になって、いざ自分で畑をやってみると、発見の連続です。
土づくりから始まり、種をまき、水をやり、雑草を取りながら育てていく。アブラムシを食べてくれるてんとう虫、受粉をしてくれる蝶々や蜂などの虫さんたちのありがたみを感じることもできます。そうして手間をかけた野菜が実を結び、収穫できた時の達成感はひとしおです。採れたてを味わえるのも、家庭菜園ならではのご褒美です。

また、畑は意外にもコミュニケーションの場でもあります。市民農園は区画ごとに借りているため、隣の方と作業時間が重なることがあります。そんな時、「何を育ててるんですか?」「どんな工夫をしてるんですか?」といった会話が自然と生まれ、情報交換ができます。もちろんYouTubeなどで情報収集もできますが、人と直接話す中で得られる知恵には、やっぱり価値があると感じました。

また父とのコミュニケーションのきっかけにもなっています。家庭菜園の先輩として、肥料の選び方や育て方のコツなどを教えてくれるんです。実家にいた頃はあまり会話が多くなかったのですが、今はこうして野菜の話を通じて距離が近づいた気がします。大人になってから、こうした時間ややり取りが築けることにありがたさを感じています。

そして何より、育てた野菜を子どもと一緒に収穫する時間が、貴重な体験になっています。自分が祖父母や父からしてもらったことを、今度は子どもに伝えることができているのかな、と思うとやってみて良かったなと感じています。

大人になると、自然に成長する機会は減っていきます。タバコやお酒を覚えるといった、逆方向の成長はあるかもしれないけれど、本当の意味での前進は、自分で学んだり、人と関わったりしない限り得られない。そんな中、野菜づくりは、成果が目に見える形で返ってくる貴重な営みです。だからこそ楽しく、成長を実感できる時間になっています。

抽選なので何年続けれらるかわからないけれど、今後のライフワークの1つとして継続したいなと思ったのでした。